スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

本の紹介・日本人の誕生

日本人の誕生―人類はるかなる旅 (歴史文化ライブラリー)日本人の誕生―人類はるかなる旅 (歴史文化ライブラリー)
(1996/11)
埴原 和郎

商品詳細を見る

今回は埴原和郎『日本人の誕生―人類はるかなる旅―』(吉川弘文館、1996年)です。

著者は冒頭で次のように書いています。
「日本人は単独で生まれ、進化してきたのではない。こんにち日本人と呼ばれる集団が存在しているという事実は、数十億年にわたる生物進化の帰結であり、さらに身近に考えれば哺乳類、霊長類、そして人類の進化の歴史を背景としている。」
この言葉通り、本書は半分が人類誕生とその後に関する記述で占められます。
さて、「日本人」と言った場合にその意味はいくつかの要素から構成されます。特に「民族」と「人種」の混用は混乱を招く恐れがあります。
そこで著者は「民族」について「共通の文化によって結ばれ、『われわれ意識』をもつ人間のグループ」と規定し、「人種」については「共通の遺伝的特徴によって他と区別される人間の集まり」と規定します。また、この二つは必ずしも一致せず、「民族の血統」とか「純血民族」という言葉の矛盾も指摘します。
しかし、その「人種」自体に問題があることも述べていて、厳密な分別は不可能であり、ベネディクトの言うような人種の優劣を運命づけるドグマの存在も無視できません。そこで、本書では「人種」の代わりに「集団」という中立的な言葉を使用しています。

本書の前半は人類誕生が丁寧に説明されており、「進化は偶然の産物」であることを自覚せざるを得なくなります。続いて、人類の進化の複数のルートを辿り、人類が単一のコースではなく、複数のコースで何度も拡散しながら先着民との混血を経て全世界に広がったことが述べられます。
後半には主題となる日本人の形成について語られ、氷河期に南シナ海にあったスンダランドで形成された新人段階の原アジア尽の一部が北上して縄文人になったことが説明されます。その後、紀元前300年頃から大陸からの亡命難民が西日本を中心に広がっていき、その混血の結果が弥生人となります。
著者は現在の日本人がこの在来系(東南アジア系)と渡来系(北アジア系)との混血による二重構造だとします。そして、全国的に混血していることでは日本は一つの傾向があるが、混血の度合いで地域差が多様であるとしています。つまり、おのずと文化に関わる概念である「民族」も複数存在することになります。

「二重構造」という規定には議論の余地がありますが、現実の集団は境界も明確でなく、相互依存的で流動的である、という主張は容易に事実であると理解できます。
また、古今東西にわたって描くダイナミズムはその快さ故に緻密な批判をうけますが、無知蒙昧な政治家による幼稚な保守傾向にある現在の日本には必要な快さでしょう。
かつて「悠久の民族」として、戦後に一般化した「単一民族神話」がいかに空虚であり、人種偏見や差別がいかに根拠のないことかを知識としてのみならず実感することができます。

「単一民族神話」については、小熊英二『単一民族神話の起源』(新曜社、1995年)に詳しいので、そちらを参照下さい(そのうち紹介するかもしれませんが)。
スポンサーサイト

comment

Secret

カレンダー
07 | 2017/03 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
プロフィール

ジェット・ブラック

Author:ジェット・ブラック
ECOのことはSNSにて記すことにして、こちらは日常の雑記にしようと思います(120805)
季節のことや行事、社会のことなどとりとめねいことになりますが、たまーに毒を吐くかもw

最新コメント
最新記事
最新トラックバック
カテゴリ
月別アーカイブ
著作権について

C)2007 BROCCOLI/GungHo Online Entertainment,Inc./HEADLOCK Inc.
このページ内におけるECOから転載された全て のコンテンツの著作権につきましては、株式会社ブロッコリーとガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社および株式会社ヘッドロックに帰属します。
C)SEGA
このページ内におけるPSUから転載された全て のコンテンツの著作権につきましては、株式会社SEGAに帰属します。
なお、当ページに掲載しているコンテンツの再利用(再転載・配布など)は、禁止しています。

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。